北緯40゜の桃源郷から

ここに登場する農園は秋田市から車で約20分ほど走った山の中にある小さな農場であります。これから始まる話は、農夫に成り立てのまったく素人同然の森のぽーと家庭菜園歴ウン十年を誇るおくちゃんとその息子であるやっちゃんとの3人が自分たちの理想とする農園を作らんがために悪戦苦闘する日々の様子を綴った物語であります。

国際焚き火学会秋田支部幹事農園として

目 次

日本の焚き火文化は絶滅してしまったのか

From 農園物語

今都会ではほとんど焚き火をやる場所がありません。別に都会で無くても焚火を誰に気兼ねなくできる場所というものが極端に少なくなってきています。

日本古来の焚火文化というものが日本では完全に滅亡してしまったのかも知れません。とともに昭和の時代が終わりを告げる頃までには老若男女を問わず多数存在したタキビニストと呼ばれた者達も絶滅危惧種に指定されたというニュースを耳にしたのはいつのことであったのか。

秋の木漏れ日を浴びながらカサコソと枯葉を集めて落ち葉焚きをする光景なんてものは、もう随分大昔に消滅してしまって、とんと目にすることがなくなってしまいました。

落ち葉を集めて焚火をしていれば、近所のおじさんがなにげに寄ってきて
「おお!なかなか風情のある焚火ですな。この焚火には確かにワビという気配がかんじられますな」
なんて声をかけてくるなんてことは無いのでありまして、ヘタすると
「せっかく洗濯したのに煙りと灰で汚れるじゃないのさ・・・」
なんて怒鳴られたりすることさえあるのであります。

From 農園物語

まだ怒鳴られるぐらいだったらいいのですが、黙って警察に連絡されて「やたら焚火禁止罪」に問われて強制労働1ヶ月なんていう刑を課せられるは周知の事実であります。

以前だったら庭仕事をして集まった落ち葉とか枯れ枝なんてのは最後まで徹底的に焚火にして一握りの灰にしてしまったものですが、今は市役所指定のゴミ袋にいれて決められた日に決められた場所に出すように義務づけられてしまったのであります。

なんていうことだ枯れ枝とか落ち葉などというものはタキビニストにとっては生きていくうえにおいて水につぐ重要なアイテムであるものをゴミとして扱って平気なのである。

この焚火がお前等のご先祖様に暖かい食事を与え冬の厳しい寒さのなかでは暖を与え、その神秘的な炎が文化を創ってきたというのに、その恩を忘れ去り電化がいくら進んだとしてもこの仕打ちはなかろうと思うのだが。

昨今の社会の乱れは目にあまるものがあります。特に教育の荒廃には目を覆ってしまいます。これら荒廃の原因のひとつに修身の時間を廃止したことと「正しい焚火教育」をも葬ってしまったことにあると考えるのであります。

From 09ゴールデンウイーク

以前の学校教育では特に小学校では最低でも週に3時間ほどの正しい焚火の仕方を入学と同時に行われていたのです。焚火を通して徳育を育むという崇高な目的を持って実行されていたのです。

このように書きますと50歳前後の方々は懐かしく思い出されることでありましょう。
「そうそう、小学校の1年生の頃はマッチすらなかなか点けられなくてね」
「いつのときだっけなマッチ1本だけで焚火ができるようになったのは」
「はじめてできた時はうれしくね。そういえば赤飯を炊いて家中でお祝いしてくれたものよね」
「とりわけお父さんが喜んでくれてね」
なんて懐かしさで胸がいっぱいになってこみ上げてくるものもあることでしょうね。

From 09ゴールデンウイーク

60代の方はそれに加えて火炎瓶の造り方や、教室の机や椅子を校庭において合理的な焚火を作って暖を取るなんていう高度な焚火を同時に思い浮かべるかと思います。

あ!そういえば機動隊の放水からいかにして焚火を守るかなんていう応用技もありましたね。話はかなり屈折した焚火に飛んでいってしまいましたが、もともと焚火には怪しい力が秘められているものなのであります。

おっと話があらぬ方向にいきましたので正当派の焚火に戻します。焚火の傾向としましては海焚火・山焚火の2種類に大別されると思います。

海焚火というのはどちらかというと焚火をする場所に恵まれそれに流木という薪に恵まれますからどうしても大味なキャンプファイヤーに近く正当派の焚火とはちょっとかけ離れている亜流といってもいいものだと思います。

尾瀬 奥会津 檜枝岐村七入オートキャンプ場 朝の焚火をする少年

そのてん山焚火は焚火道の本道をいく完全純血な焚火といえます。山焚火は海焚火と違って焚火ができる空間が狭く山火事に最大の注意を払わなければならず、どうしても小さな規模の焚火にならざるを得ない。そこに日本古来のワビとかサビといった美意識を感じることになるのです。

実際に焚火をやってみればわかることなのですが、規模の小さい焚火ほど維持するのには難しくそれなりの技術力を用するということです。やはり焚火技能士3級は最低取得しておくべきでありましょう。

世界のタキビニストが集まり絶滅危惧種に指定されつつあるタキビニスト種族を保護する目的で国際焚火学会が設立されたのは記憶に新しいと思いますが、その設立間もない国際焚火学会がなんと当七入オートキャンプ場をオートキャンプ場業界では始めて国際焚火学会の公認キャンプ場に認定してくれました、当キャンプ場はここにこの栄誉にこたえるべく国際焚火学会が掲げる焚火憲章をここに掲載することにする。全員こころ厳かにして読むこと。

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焚火憲章(国際焚火学会編)

第1条

焚き火は文明の象徴である。燃えさかる炎を行使する自由は、火災に発展する可能性のない限りこれを保障する。

第2条

何人も、自然に不利益な焚き火を強要されない。

第3条

この憲章が学会員に保障する基本的な焚火の権利は、石器時代からの人類の多年にわたる文明の英知であって、これらの権利は、過去幾多の試練に耐え、現在および将来の学会員に対し、侵すことのできない永久の権利として地球滅亡のその日まで信託されたものである。

第4条

すべての学会員は、焚火の周辺では平等であり、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、焚火場においては差別されない。

第5条

学会員は品格と調和を基調とする焚火を誠実に希求し、炎による威嚇、集団騒乱火は永久にこれを放棄する。

第6条

この憲章が学会員に保障する焚火の自由と権利は、学会員の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、学会員はこれを濫用してはならないのであって、常に自然環境とのバランスを考慮しこれを利用する責任を負う

第7条

すべて学会員は肝臓を愛で文化的な飲酒を焚火前で営む権利を有する。

第8条

焚火に関する思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

以上当農園で焚火をせんがために訪問されたタキビニストは朝に夕に以下の焚火憲章を暗唱し焚火の前には静かに唱えるようにしなければならない。

焚き火をやる場所は原則どこでもいいですが、できれば下草のはえていない場所でやっていただければと思います。

キャンプ場は自然環境の厳しい場所に位置しています。たとえ下草でも大事なのです。下草があればテントを張った場合直接土になるよりは、快適であります。

ですから以前に誰かが焚き火をやった場所が無数に存在しますので、それらを利用していただければと思います。竈に使用した石なども転がっておりますので、それらを利用していただければと思っています。

なお焚き火台焚火を利用する限りは影響が少ないので気にいった場所でどうぞ。

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焚き火パーティの夜

尾瀬 檜枝岐村七入オートキャンプ場
From 尾瀬 檜枝岐村七入オートキャンプ場 01

人々は無言で原始の時代から何ひとつ変わらぬ炎を見つめ続ける。空には満天の星が散らばっている。

普段饒舌な奴が急に無口になる。無口な奴がボソボソと自分を語り始める。こいつこんなにマメだったかと思われるほど火の管理をするようになったりする。

それぞれの顔を朱で染めて焚き火パーティは夜がなお更けてもつづけられる。

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焚き火を利用した料理
尾瀬 檜枝岐村七入オートキャンプ場
From 尾瀬 檜枝岐村七入オートキャンプ場 01
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